目的
この病院は、次代をになうこども達が心身ともに健やかに育成されることを目的とし、こどもの成長と発達という特性に対応できる医療をおこなう小児医療部門と、近年多様化の傾向にある感染症を取扱う感染症部門(法定伝染病[現在は1類感染症]を含む)を2本の柱とし、主として一般の診療機関で診断、治療が困難な患者を対象として診療を行う、高度専門の医療施設として開設された。
経緯
福岡市は、第一病院、西新病院、少年保養所及び荒津病院の4病院を経営していたが、病院事業の経営の悪化に伴い、経営不振の原因及び健全な経営をはかる方策について、昭和44年12月福岡市病院事業運営審議会に諮問、翌45年10月「専門的かつ高度の医療を提供し、より効果を発揮するため、規模を大きくすることにより学問的分野を加え医療技術者を定着せしめる。」等を骨子とする答申を得た。
同年10月、この答申の実現を図るべく「専門高度の医療を提供するにあたっての診療科形態、市立病院の果たすべき役割に応じた内容・規模」等、具体的方策について再度諮問した。以来慎重に審議がなされた。その間社会情勢の著しい変動や病院事業に関連する医療事情の変化等があったが、昭和51年2月「本市の医療事情、市民の医療需要を考慮し、小児医療部門と感染症部門をもつ高度専門的な診療を行う新病院の建設と、第一病院を高度専門化の方向と増床整備を行う。西新病院と少年保養所は、その事業の廃止はやむを得ない。」ということを骨子とした答申を得た。
昭和51年度予算に新病院建設事業推進費を計上し、こども病院・感染症センターの建設に着手した。
昭和53年3月こども病院・感染症センターの第一期工事に着工し、2年有半の歳月と80億円の費用を投じて55年8月竣工、55年9月1日から全面開院した。
開院以来、小児の高度専門医療機関として、小児内科系疾患、小児外科系疾患および小児感染症などに対応している。また、全国トップクラスの手術を行っており、特に先天性心臓病の手術では国内有数の実績をあげるなど、全国的に高く評価され、九州・西日本一円から広く患者を受け入れている。
その後、救急病院の認定や地域医療支援病院の承認、地域周産期母子医療センターの認定を受けるなど、小児の地域医療、救急医療、周産期医療にも力を入れている。
しかし、築30年以上が経過し、建物の老朽化、狭隘化から、高度専門医療に迅速に対応することが難しくなり、平成20年12月、「新病院基本構想」が策定された。
平成21年11月には、新病院の整備にあたり、小児・周産期医療の拡充に伴い増床が必要とされる70床のうち43床が、特例病床として承認された。
平成22年4月、地方独立行政法人福岡市立病院機構が市から事業を継承し、平成23年1月、「こども病院移転計画調査委員会」が設置、計7回開催され、5月には福岡市においてアイランドシティへの移転が決定した。
平成26年11月1日、東区アイランドシティに無事に移転し、「福岡市立こども病院」という名称で開院した。
経過
- 51年2月
- 福岡市病院事業運営審議会「新病院の建設」について答申
- 51年4月
- 51年度予算に新病院建設推進費を計上
- 52年5月
- 福岡市こども病院建設推進本部スタート
- 52年11月
- 基本設計完了
- 53年3月
- 第一期工事着工(感染症病棟、検査・手術棟)
- 54年2月
- 第二期工事着工(管理小児病棟、放射線棟、外来診療棟)
- 54年3月
- 第一期工事竣工
- 54年4月
- 保険医療機関指定
- 54年4月
- 感染症部門診療開始
- 54年4月
- 生活保護法による医療機関の指定
- 54年4月
- 結核予防法による医療機関の指定
- 54年5月
- 原爆被爆者一般疾病医療機関の指定
- 55年8月
- 第二期工事竣工
- 55年9月
- 小児医療部門診療開始
- 55年9月
- 更生(育成)医療機関の指定(心臓脈管外科に関する医療)
- 55年9月
- 養育医療機関の指定
- 55年12月
- 更生(育成)医療機関の指定(整形外科に関する医療)
- 63年8月
- 更生(育成)医療機関の指定(腎臓に関する医療)
- 元年2月
- 外国医師臨床修練病院の指定
- 11年4月
- 第二種感染症指定医療機関の指定(22床)
- 12年3月
- RI検査棟共用開始
- 12年4月
- 患児家族宿泊施設(ファミリーハウスわらべ)共用開始
- 13年4月
- 第一種感染症指定医療機関の指定(2床)精神科を標榜
- 15年11月
- 臨床研修指定病院の指定
- 16年3月
- 臨床研修協力施設の認定
- 18年9月
- 日本医療機能評価機構病院機能評価(Ver.4.0)の認定
- 18年12月
- 救急病院の認定
- 19年3月
- 開放型病床(5床)設置
- 19年9月
- 地域医療支援病院の承認
- 20年7月
- 診断群分類包括評価制度(DPC)導入
- 21年3月
- レセプト電算請求開始
- 22年4月
- 地方独立行政法人福岡市立病院機構へ移行
- 22年8月
- 産科(4床)を開設
- 23年4月
- 地域周産期母子医療センターの認定
- 23年8月
- 日本医療機能評価機構病院機能評価(Ver.6.0)の認定
- 24年4月
- 第二種感染症指定病床を2床返上(第二種感染症指定病床22床→20床)
- 24年11月
- 特定集中治療室病床を2床増床(特定集中治療室病床6床→8床)
- 24年12月
- 第二種感染症指定病床を2床返上(第二種感染症指定病床20床→18床)
- 24年12月
- 新病院建設工事着工
- 25年4月
- 日臨技制度保証施設認証制度認証施設
- 25年5月
- 第二種感染症指定病床を2床返上(第二種感染症指定病床18床→16床)
- 26年7月
- 第一種感染症指定病床を2床返上(第一種感染症指定病床2床→0床)
- 第二種感染症指定病床を12床返上(第二種感染症指定病床16床→4床)
- 26年10月
- 第二種感染症指定病床を4床返上(第二種感染症指定病床4床→0床)
- 26年11月
- 福岡市東区香椎照葉へ移転(1日)、開院(5日)