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整形外科


スタッフの写真

当院整形外科では伝統的に脊椎疾患を中心に診療を行っていますが、平成24年度より股・膝関節疾患の専門医を迎え、運動器全般の治療を安全確実に行う体制を整えています。また介護を受けることなく、いつまでも自分の足で歩けるように、ロコモ(ロコモティブシンドローム;運動器症候群)の予防や治療も行っています。





令和3年度は以下の7名で診療にあたっています。
齊藤 太一(昭和62年卒;脊椎外科担当(診療統括部長))
糸川 高史(平成7年卒;関節外科・関節リウマチ担当(科長))
入江 努(平成7年卒;脊椎外科担当(科長))
田中 哲也(平成9年卒;脊椎外科担当(リハビリテーション科科長兼任))
中原 寛之(平成16年卒;関節外科・関節リウマチ・脊椎外科担当)
青野 誠(平成18年卒;脊椎外科・外傷担当)
竹内 龍平(平成29年卒;整形外科一般・外傷担当)
再来は原則として主治医制・予約制とし、待ち時間をできるだけ短縮するように努めております。

外来診療

令和2年度の外来患者延べ数は8,914名(1日平均36.5名)、うち初診は873名(1日平均3.6名)でした。今なお猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症による受診控えの影響からか、前年度比は前者で86.2%、後者で77.6%と大きく低下しました。一方で初診に占める紹介患者比率は77.0%であり、年々増加傾向にあります。日頃より患者さんをご紹介頂いております先生方には、この場を借りて改めて厚く御礼申し上げます。

入院診療

令和2年度の入院患者延べ数は14,291名(1日平均39.2名)でした。このうちの大部分は手術目的にて入院された患者さんですが、こちらも新型コロナウイルス感染症の影響により、4月下旬から5月末日までの間、麻痺のある脊椎疾患症例や外傷症例等を除いて予定されていた手術をほぼ全て延期としました。結果として、入院患者数は前年度比84.9%、年間の手術症例数(図1)も令和元年度の599例から528例へと大きく落ち込みました(同88.1%)。
院内への感染流入防止対策の確立と徹底により、6月以降は従来の手術実施体制に戻しましたが、現在も引き続き手術目的で入院される患者さんには入院直前のPCR検査、入院時の胸部CT、荷物の受け渡しも含めた面会の全面禁止など従前とは全く異なる体制下でのご不自由・ご不便をおかけしています。ただでさえ不安な入院生活において直接ご家族とお話しできない環境を強いることについては心苦しいものがあります。一日も早い感染の終息と以前のような入院環境を取り戻せる日が訪れることを祈念するばかりです。

脊椎疾患

まず徹底的な病歴の聴取と理学的所見の診察を行い、その上で必要と考えられる検査を実施します。X線、MRI、CTなどの画像検査は多くの情報を提供してくれますが、脊椎疾患においては特に、その中から有意な所見を抽出し正確な診断につなげることが重要です。 治療は脊髄症状や四肢麻痺などが高度な患者さんを除いては、あくまでも保存的治療を原則としています。オピオイドも含めた近年の新しい鎮痛薬の登場により薬物療法によって痛みをコントロールできる患者さんがかなり増加しました。また、痛みが高度な場合には神経ブロック(但し、腰椎のみ)も行っています。
このような治療をもってしても症状の改善を得ることが難しい患者さんに対しては、手術的治療を選択することになります。令和2年度は249例の脊椎手術を施行しました。うち192例(77.1%)が腰椎手術であり、その約7割が腰部脊柱管狭窄症でした。残りの大半が腰椎椎間板ヘルニアですが、初発例では内視鏡下での摘出術が主流となっています。手術は除圧術を基本とし、必要に応じてインストゥルメントを併用した固定術を施行しています。麻酔は麻酔科専門医により低血圧麻酔が行われ、これに回収式自己血輸血を用いて殆どの症例で同種血輸血を回避できています。術後はほぼ全例で2日目からコルセット或いは装具を装着下に歩行を開始し、専門の理学療法士、作業療法士により積極的な機能訓練を行っています。

関節疾患

当科では当科では主に下肢の大関節である股関節、膝関節に関して専門的な診療を行っています。脊椎疾患同様、徹底的な病歴の聴取と理学的所見の診察が重要であることは言うまでもありません。
保存的治療としては薬物療法と併せて、筋力訓練やダイエットの指導、関節腔内への注射などを行います。病院の性格上、外来患者さんに対する理学療法・物理療法は行えないため、そのような治療が必要な場合には近隣の開業医の先生方にお願いしています。
手術的治療の適応と判断された場合には病態に応じて、関節鏡視下手術、骨切り術、人工関節置換術などの方法が選択されます。手術に際しては、他の手術同様、術後感染症や深部静脈血栓症の予防に細心の注意を払い、予想される出血に対しては、自己血貯血により対応しています。術後は早期から関節可動域訓練や歩行訓練などを実施し、通常であれば3週間ほどでの退院が可能となります。

外傷

救急病院、地域医療支援病院として外傷の患者さんも積極的な受け入れを行っています。中でも大きな割合を占めているのが骨粗鬆症を基盤とした脆弱性骨折です。保存的治療を原則とした胸腰椎椎体骨折の急性期診療はもちろんのこと、骨折手術の中でも大腿骨近位部骨折(骨接合術と人工骨頭置換術)・橈尺骨遠位端骨折・上腕骨近位部骨折といった骨粗鬆症関連骨折を合わせると全骨折手術症例の6割近くにのぼっています。

最後に

当院は第2種感染症指定医療機関・新型コロナウイルス感染症重点医療機関として令和2年度をまさにウィズコロナの体制で運営してきました。整形外科においても、その影響はこれまで述べてきたような前年度比実績を見れば明らかです。かかる有事がいつまで続くのか、まだまだ見通しが立たない状況ですが、いかなる環境下においても患者さんから信頼される整形外科であり続けられるよう、今後も限られたハードの中で安全・安心な医療提供を実践してまいります。

令和2年度の手術内訳

 

令和2年度手術症例数内訳の図

 

整形外科年度別手術症例数の図

受診の際は紹介状をご持参ください

市民病院整形外科では開業医の先生方と連携をとって、入院や手術が必要な患者さんを中心に診療を行っております。受診の際にはなるべくお近くの先生からの紹介状をご持参いただきますようお願い申し上げます。