
消化器センターとして、消化器内科と共に幅広く消化器疾患の治療を行っています。 食道癌, 胃癌, 大腸癌に対しては、手術, 化学療法, 放射線療法(他院と連携)を組み合わせた集学的治療によって、各症例に対して最適な治療法を提案しています。 化学療法は、外科・内科・薬剤部・がん専門看護師によるカンファレンスを毎週行い、個々の症例に対する治療戦略を検討しています。 その他、鼠径ヘルニアや尿膜管遺残、正中弓状靭帯圧迫症候群といった症例に対する腹腔鏡手術も積極的に行っています。 急性虫垂炎や腸閉塞などの救急疾患に対しても24時間対応します。
2020年度のメンバーは、東副院長・西田消化器外科科長・枝川・西村・河波の5名です。
チーム診療制を実施しており、全ての患者さんを全員で担当することによって、より質の高い医療を提供することを目指しています。
また本年度のトピックとして、食道疾患センターを設立しました。
【根治性・安全性・低侵襲性の追及】
当科の方針・目標として、根治性はもちろんのこと、安全性と低侵襲性を追及します。
①食道癌
鏡視下(胸腔鏡+腹腔鏡)食道切除再建術を行っています。(症例に応じて小開胸や開腹を組み合わせて御提案する場合もあります)
徹底的なリンパ節郭清を行いながら、手術時間を少しでも短縮できるよう様々な取り組み(再建先行術式や左反回神経テーピング法)を行っています。
当科の執刀医は現在まで300例以上の食道癌手術に携わっており、筆頭術者として100例以上を経験しています。
②食道胃接合部癌
近年増加傾向にある食道胃接合部癌に対する手術は、術後の逆流症状のコントロールが重要な課題です。当科では逆流の起こりにくい術式として“観音開き法”による再建を行っており、良好な成績を得ています。
③胃癌, 大腸癌
開腹術・腹腔鏡手術という術式の違いに関わらず、原発巣の完全切除と徹底したリンパ節郭清が根治性を追求するうえで最も重要と考えています。同時に神経・血管を可及的に温存し、可能な限り臓器機能を温存するよう努めています。
④良性疾患
急性虫垂炎や鼠径ヘルニアに対しては、その大部分を腹腔鏡手術で行っています。
正中弓状靭帯圧迫症候群(腹腔動脈起始部圧迫症候群)や、13cm大の巨大食道脂肪腫といった大変希少な症例に対する手術も鏡視下で行い、学会報告しています。
(日本消化器外科学会、日本食道学会)
【食道疾患センター設立】
2020年4月1日より福岡市民病院 食道疾患センターを設立しました。
食道疾患の頻度は胃腸疾患と比べて高くはありませんが、食道悪性腫瘍のみならず、食道良性腫瘍や食道裂孔ヘルニア、難治性の逆流性食道炎などで食事が思うように摂れず、悩まれている方は少なくありません。
当センターは、消化器外科・消化器内科・放射線科が蜜に連携し、個々の患者さんにとって最良の治療法を御提案することを目的としています。
良性疾患に対しては内科的治療を第一選択としますが、難治性の症例や手術が望ましいと判断される症例に対しては、積極的に低侵襲手術を行っております。
食道疾患にお悩みの患者さんや、どこに紹介しようかと迷われる先生方にとって、安心して検査・治療をお任せいただけるセンターとなるよう努力してまいります。
福岡市民病院 外科 TEL:092-632-1111(代表)